セミノールは酸味があって、果汁がたっぷりなのが特徴の柑橘です。

美味しく感じるにはある程度の酸味も必要で、理想のバランスは糖度7酸味3と言われています。

店頭で売られているセミノールは糖度6酸味4くらいかと思われます。

これを家庭で理想のバランスに近づける方法がありますので、これからその方法をご紹介していきます。

セミノールをもっと甘くするにはどんな方法があるの?

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収穫したばかりのセミノールは酸味がかなりあります。

セミノールは霜の降りない年内から1月頃までに収穫して6月頃まで出荷します。

霜の降りないうちに収穫し追熟するのは、霜が一旦付いてしまうと腐ってしまうからです。

追熟というのは収穫後、一定期間保存して熟成を待つことです。

セミノールの旬は4~5月頃なので、その間、貯蔵して追熟させ甘味を整えていきます。

そして店頭に出回る頃はある程度の甘みになっています。

糖度は温州みかんと比較すると、温州みかんが12~15度に対し、セミノールは11~12度と若干低めです。

セミノールのおいしさは糖度と酸味のバランスで成り立っています。

当然、糖度も酸味も高いものより糖度が高くて酸味が少ないものの方が甘く感じられます。

酸味とはクエン酸によるもので、クエン酸の量を減らせば甘く感じられ美味しさを増すのです。

それには家庭でも可能ないくつかの方法があります。

まず簡単にできるのは陽に当てて、追熟させる方法です。

ビニール袋にぶつぶつ穴を開けセミノールを入れて数日、陽に当てておきます。

もっと早く甘くさせるには、リンゴと一緒にセミノールを2~3個、密封したビニール袋に入れます。この方法ですと数時間で甘みがぐっと増します。

これはリンゴから発生するエチレンガスの、炭水化物(でんぷん)を糖に換える性質を利用したものです。リンゴの替わりにバナナでも可能です。

エチレンガスについて言いますと、傷んだ柑橘類は多量のエチレンガスを発生します。

熟した状態の果実に、エチレンガスが作用するとどんどんまわりの果実も傷んでいきます。

これはエチレンガスの仕業です。傷んだ果実のまわりの果実が甘く感じられるのはこのためです。

次にセミノールをよく揉む方法です。

両手でセミノールをもみほぐします。少し乱暴な方法ですが、袋に数個入れて振りまわし振動を与えたり、キャッチボールをしたり自転車のカゴに入れて一回りしてきてもいいですね。

いずれの場合も傷がつかない程度にセミノールに衝撃を与えます。

クエン酸は、衝撃を加えられたセミノールを修復しようとエネルギーを消費します。それによってクエン酸が減るのです。

衝撃を与えた後はさらに甘みを増すように2~3時間、放置しておきます。

40度くらいのお湯に15分程、浮いてこないように重しをして漬けておくのも効果があります。

これは温めることによって「アコニターゼ」という酵素が、クエン酸を分解させて減らすためです。

温めた後は冷蔵庫で1時間程、冷やします。レンジで30秒程温めるのもこの理論と同じです。

この場合、卵のように爆ぜる可能性があるので、皮に何ケ所か切り込みを入れておきます。

この場合も温めた後は冷蔵庫で冷やします。

いずれの方法でも食べる前には、1時間程冷蔵庫に入れておいてから召し上がった方が甘く感じられます。

セミノールにもうひと工夫、美味しく召し上がるにはコレだ!

ポイント
セミノールはそのまま召し上がっていただいても美味しいのですが、ひと工夫加えるとさらに美味しく召し上がることができます。

簡単なレシピと共にご紹介します。

ゼリーにする

セミノールは果汁たっぷりなので、ゼリーには最適です。

セミノールゼリー 4人分

セミノール 3個(約250CC)、砂糖 大さじ1.5杯、粉寒天 2g、ミント 4枚

1,セミノールをスクィーザーで絞って裏漉ししておく。

2,砂糖と粉寒天を混ぜ、セミノール果汁の中に入れかき混ぜる。

3,沸騰するまで煮詰め、人肌程に冷ましてから器に入れる。

4,冷蔵庫に入れ固まったら、ミントを飾る。

シャーベットにする

セミノールをそのまま冷凍にしてもいいですが、ひと工夫することでグレードアップできます。

セミノールシャーベット 1個分

セミノール 1個、はちみつ大さじ 1杯、ブランデー 少々、炭酸水 50cc

1,セミノールを上から1/3のところでカットする。

2,果肉をスプーンですくい、種と薄皮を取り除く。

3,皮も使うのでラップを掛け,凍らしておく。     

4,ボウルに果肉をあけ、はちみつ、ブランデー、炭酸水とよく混ぜる。

5,冷凍庫で半分、固まるまで凍らす。

6,半固まりになったら、皮にスプーンで盛っていき再び凍らす。

フレーバーウォーターにする

ボトルにミネラルウォーターを注ぎ、輪切りのセミノール、適量の果汁を入れるだけで、すっきりした味わいのフレーバーウォーターになります。

ローズマリーや炭酸を加えると、さらに美味しく飲めます。

ジャムにする

大量のセミノールが残ってしまったら、ジャムに加工すればクエン酸が減り甘みが増しますし長期保存もできます。

セミノール 4個(450~500g)、グラニュー糖 500g、水 200cc

1,セミノールをよく洗い、5mmくらいの輪切りにしておく。

2,水にグラニュー糖を入れ、沸騰するまで煮詰める。

3,刻んだセミノールを入れて、透明になるまで煮込む。

4,トレイに移し冷ましてから器に入れる。

このようにひと手間加えれば、色々な加工品ができますのでぜひお試ししてみてください。

まとめ

セミノールを甘くする方法を中心にご紹介してまいりました。

それにはエチレンガスとクエン酸が関わってきます。

家庭でできる方法として、セミノールを日光に当てて追熟する方法やセミノールに、ある程度の衝撃を与えてクエン酸を減らす方法です。

またリンゴやバナナのエチレンガスを利用してセミノールを甘くすることができます。

ひと手間加えてセミノールのゼリーやジャムに加工すれば、グレードの高い加工品になります。

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