ピンク色で丸っこく可愛らしいフォルムの桃。

食べると甘く芳醇な香りと柔らかくジューシーな果肉からはたっぷりの果汁が口の中を満たす為、暑い季節に冷やした桃を召し上がる方も多いのではないでしょうか?

ジュースや飴などのフレーバーにも使われることが多く、私たちには馴染み深い果物のひとつだと思います。またはスキンケア用品に桃の葉エキスとして使われることも多いです。

そんな桃ですが、実はその種には毒が含まれています。今回は桃の種について説明します。

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桃の種に含まれている毒はアミグダリン

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アミグダリンとは、バラ科サクラ属の植物の未熟果実の種子の中にある仁、という部分に多く含まれている成分です。

アミグダリンそのままだと無害ですが、胃の中に入り分解されると、シアン化水素、つまり青酸になります。

刑事ドラマなどでご存知の方も多いと思いますが、青酸は多量に摂取すると嘔吐、眩暈、血中酸素の低下などの中毒症状が起こり、最悪の場合人を死なせてしまう強い毒性がある猛毒のひとつです。

アミグダリンは桃だけでなく梅、アーモンド、枇杷にも含まれています。何故そんな毒物を種子に含むかというと、植物が外敵から身を守る為の防衛機能だと考えられています。

基本的に種を少し食べた程度では人体にはさほど影響がない?


青酸は猛毒ですが、致死量に至るまでの量はおよそ60mgです。

桃の種に含まれるアミグダリンの量は1つあたり約1.5%ほどの為、致死量に至るまで摂取しようとなると100個以上食べなくてはなりません。

その為1つ2つ食べるくらいでは、人体に影響を与えることはありません。

実は未熟の桃の果実にもアミグダリンは含まれている?


熟していない果実の場合、微量ですが種だけでなく果実、葉、樹皮にも含まれています。

未熟な果実の場合アミグダリンはエルムシンと呼ばれる成分とともに含まれることが多いです。

このエルムシンが、果実が熟すことにつれて作用し、アミグダリンを分解し、毒性の濃度を下げていきます。この為熟した桃の果肉は安全に食べることができるのです。

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桃の種は生薬として活用されている?

ポイント
桃は中国原産で、遥か昔から食べられていました。中国では生薬といい、自然のものを利用した薬が有名です。

その中で桃の種、厳密にいうと種子の中の仁と呼ばれる部分を利用した桃仁(トウニン)という生薬があります。

この桃仁は成熟した桃の種子を乾燥させて作られています。成熟した桃を使用することによって上記のように解毒作用が進んだ状態である為、長い間使われています。

桃仁の効用は血の巡りがよくなり、便通がよくなることや月経不順、月経痛など婦人病の改善に繋がります。

女の子の成長を願う日を桃の節句と呼ぶように、桃は女性にとって特に関わり深い果物です。また種だけでなく花を乾燥させた白桃花(ハクトウカ)という生薬もあります。

桃仁と効用は似ていますが緩下剤として使用されています。

生薬ではありませんが体の調子を整える意味で大きな効果があるのが桃の葉です。体の中が綺麗になると健康になるだけなく美しさにも繋がります。

桃の葉は乾燥させてお茶として飲むことが多いです。桃の葉には緑茶同様タンニンが含まれており、肌荒れ、湿疹、あせもなどさまざまな皮膚トラブルに効果を発揮します。

またアミグダリンの解毒作用を行うエルムシンが皮下脂肪の分解や、肌の角質を分解する作用がある為、美肌効果が期待できます。

あとがき

ただ美味しいだけでなく生薬として薬の一面を持つ桃、毒が含まれるといっても微量の為普段食べる量で死に至ることはないと安心したのではないでしょうか。

健康や美の為にもぜひ摂り続けていきたい果物ですね。

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