秋の果物の一つである柿。
柿の訪れを心待ちにしている方にとっては、嬉しさが溢れ出る季節ともなります。
そんな柿にも多くの品種があり、異なる魅力を秘めています。
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目次
甘柿の種類一覧
次郎柿
次郎柿は1844年に静岡県周智郡森町に住む松本治郎吉氏が太田川で発見した幼木を自宅で植えた事で誕生した品種です。
1869年の火災によって厚木は焼失してしまったのですが、翌年根から新芽がしっかりと育成したのです。
しかも以前よりも甘味や旨味がアップした実を成実させたのです。
現在では静岡県の指定天然記念物として保存されています。
富有柿
富有柿は岐阜県瑞穂市居倉が発祥の品種で、1857年に小倉初衛が栽培を始めた御所系統の柿で、福島才治が別の木に接木した事で育成し1898年に品評会で1位になった事で人気となった品種です。
現在国内で流通されている品種の中でも流通量が特に多く、一般的に食べられている柿の多くがこの富有柿です。
糖度が15~16度程と甘味が強く柔らかな果楽しみたい方から人気となっています。
松本早生
松本早生柿は1935年頃に京都府綾部市の柿園にて「富有」の枝変わりとして発見され多品種です。
発見者で農園の主をしていた松本市の名前から名付けられており、1952年に品種登録されています。
平均糖度が15度程と甘味が高い品種ですが、20度を超える事もあり、柿の中ではトップクラスの甘さを堪能出来る品種とも言えます。
御所柿
御所柿は奈良県御所市が原産の品種で、甘柿のルーツとも称されています。
幕府や宮中にも献上される程、美味しいと評判の品種でしたが、新品種の登場によって激減してしまいました。
その為「幻の柿」と呼ばれています。
1個の重量が150g程と小さめですが17~20度と高い糖度を誇っている品種です。
花御所柿
花御所柿は1781年~89年頃に鳥取県の野田五郎助という人が奈良県から持ち帰った「御所柿」の枝を接ぎ木して育てた品種です。
当時は野田五郎助の名前から「五郎助柿」と呼ばれていましたが、明治時代に生産地の八頭町花の「花」と「御所柿」を合わせ花御所柿と改名されました。
花御所柿は糖度が20度程と非常に甘味を楽しめる品種となっています。
縦半分をカットするとハート型になる事で、見た目の可愛らしさも魅力的です。
太秋柿
太秋柿は「次郎」と「興津15号」の交配によって誕生した品種と「富有柿」の交配により誕生し、1994年に品種登録された品種です。
平均重量が380g程と大きめなサイズで、500gを越える事もあります。
大きいサイズでありながら糖度が17~18度と非常に高く、果肉が柔らかくジューシーさを楽しめる品種です。
早秋柿
早秋柿は1988年に広島県果樹試験場安芸津支場で「興津2号」と「興津17号」の交配によって誕生した品種と「伊豆」の交配で誕生した品種です。
糖度が14~15度と甘味を楽しめる品種ながらスッキリとした味わいで人気を誇っています。
たっぷりの果汁と柔らかな果肉が魅力ともなっています。
新秋柿
新秋柿は1986年に農林水産省果樹試験場安芸津支場で「興津1号」と「興津20号」の交配により誕生した品種です。
糖度が17~18度程あり、富有柿よりも甘味が楽しめるとして、多くのファンがいる品種です。
柔らかな果肉と溢れ出る果汁が口いっぱいに広がり、柿の旨味を存分に楽しむ事が出来ます。
輝太郎
輝太郎柿は1994年に鳥取県園芸試験場河原試験地で「宗田早生」と「甘秋」の交配で誕生した品種です。
品種登録が2010年となっており、比較的新しい品種となっています。
平均的重量は約300gですが500gになる大きめの品種です。
さらに大きいだけでなく、糖度が17度と甘味が強い品種でもあるのです。
大きくそして甘い輝太郎柿は大変希少価値が高く、1個500円の価格にもなる品種です。
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不完全甘柿の種類一覧
筆柿
筆柿は愛知県三ヶ根山麓で江戸時代より自生していた品種とされています。
毛筆の筆先に形が似ている事から「筆柿」と呼ばれていますが、産地である愛知県においては「珍宝柿(ちんぽうがき)」とも呼ばれています。
これは形が男性器に似ている事で呼ばれていますが、この由来で販売出来ない為、「珍しい宝のような柿」という当て字になっています。
100g程と小さいサイズですが、濃厚な甘さとコクが楽しめる品種となっています。
筆柿は不完全甘柿となっており、自家栽培時には稀に渋柿となる事もあります。
蓮台寺柿
蓮台寺柿は江戸時代初期から三重県伊勢市勢田町周辺で栽培されている品種で、品種改良がほとんど行われていない原種に近い品種ともなっています。
1958年には伊勢市の天然記念物として指定されている品種です。
「蓮台寺柿」の名前の由来は伊勢市に立地していた「蓮台寺」というお寺から名付けられており、このお寺の周辺で栽培が行われていた事で蓮台寺柿と呼ばれています。
栽培量が少ない事で、三重県内で消費される事が多く、他県民はあまり馴染みの無い品種となっていますが、果汁がたっぷりでスッキリとした甘さが人気となっています。
生食の蓮台寺柿も大変人気となっていますが、干し柿も人気となっています。
渋柿の種類一覧
刀根早生柿
刀根早生柿は平核無柿の枝変わりの品種で誕生しています。
1959年に発生した伊勢湾台風によって折れてしまった平核無柿を接き木を行った事で誕生した品種です。
生産者である刀根淑民氏から「刀根早生柿」と名づけられ、1980年に品種登録されています。
重量が240g程とやや小さめのサイズですが、強い甘味とたっぷりの果汁が含まれている事で、柿の美味しさを存分に楽しめる品種です。
平核無柿の枝変わりとなっている事で、形が非常に似ています。
紀の川柿
紀の川柿は渋柿である「平核無柿」収獲せず木に成実させた状態で完熟させた品種です。
木に成実させた状態で脱渋させる為、一般的な平核無柿と比較すると濃厚な橙色の色合いが特徴的です。
また糖度が16~18度程と甘味が強い事も特徴的です。
一般的に収穫後に渋抜き加工が施される品種よりも、時間が手間を掛け栽培されている為、収穫量が少なく価格も高めになっています。
その為「幻の柿」とも称されています。
成実させた状態での渋抜きが行われている事で、僅かに渋みも感じられますが、柿本来の味わいとも言えます。
蜂屋柿
蜂屋柿は岐阜県美濃加茂市蜂屋町で古くから栽培されている品種で、蜂屋町が産地な事から蜂屋柿と呼ばれています。
どの品種の系統なのか謎となっていますが、外観が似ている事で甲州百目の系統ではと言われています。
この蜂屋柿を干し柿にした物が堂上蜂屋柿と呼ばれ、1000年もの歴史があり、大変重宝されています。
堂上蜂屋の糖度は65度以上と干し柿の中でもトップクラスの糖度を誇っています。
天皇や朝廷にも献上された経緯があり、高級品と贈答用で高い人気となっています。
江戸柿・代白柿
江戸柿は奈良や京都など近畿での名称となっており、奈良県西吉野の特産品となっています。
干し柿や、おき熟し柿として食べられる事が多くありますが、京都中央卸売市場に出荷されたものが代白柿と呼ばれ、京料理のデザートとして重宝されています。
重量が300gと大きめの品種ですが、500gを越える事もあります。
果汁がたっぷりでゼリーのような食感が大きな魅力となっています。
富士柿
富士柿は昭和2年、愛媛県八幡浜市の弁上三郎左エ門氏が発見した品種です。
蜂屋柿の変異種となっている品種です。
富士柿はアルコール脱渋法という35度の焼酎で5日かけ渋みを抜く製法が行われています。
甘味があり、多くの方から人気となっている品種です。
愛宕柿
愛宕柿は愛媛県が原産の渋柿で名前の由来は諸説あります。
京都の愛宕山に奉納されて名前を賜ったという説や京都愛宕産の柿の種からの実生という説もあり、明確には解明されていません。
しかし京都の「愛宕」が深く関係していると言われている品種です。
西条柿
西条柿は広島県の西条が原産と言われている品種で800年以上の歴史を持っています。
西条柿は渋柿ですが、完熟状態になると渋みが抜け甘味を楽しむ事が出来ます。
渋抜きされた西条柿は15度程の糖度があり、甘味を堪能する事が出来ます。
市田柿
市田柿は長野県南部で栽培されている品種で、14世紀頃には栽培が行われている品種です。
特に干し柿はトロリとした甘味が好評で、2006年に南信州の地域ブランドとして認定され、全国展開もされています。
横野柿
横野柿は約280年前の江戸時代に山口県下関市安岡町横野の竹林に自生している所を発見された品種となっています。
原木は1931年に天然記念物として指定されていますが、現在は枯れてしまっています。
糖度が19~20度と非常に高く、強い甘味が特徴的です。
その他の柿の種類
黒柿
黒柿は外皮が真黒いツヤのある品種で、どのように誕生したのか不明となっています。
しかも100年以上経ち、樹木の中に縞模様が観かける事が出来ないと黒柿の樹木と判断出来ない事で「神秘の銘木」とも呼ばれています。
食用よりも観賞用として重宝されていますが、糖度が16度もある甘味が強い品種です。
皮は真っ黒となっていますが、果肉は鮮やかなオレンジ色です。
豆柿
豆柿は渋柿で、中国から持ち込まれたとされています。
豆のように小さい粒となっている事で豆柿と呼ばれていますが、信濃柿(しなのがき)や小柿(こがき)とも呼ばれています。
観賞用として重宝されていますが、食べる事も可能となっています。
あとがき
上記で紹介したように柿には数多くの品種がありますが、たくさんの品種を食べられた方はほとんどいないかと思われます。
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