文旦とボンタン、名前がよく似ていますよね。一見すると同じなんじゃないの?と思いがちですが、本当のところはどうなのでしょうか?

文旦とボンタンは違うものなのか?また、他の似ている柑橘類とどのように違いがあるのか?

これらの疑問について調べてみました。

目次

文旦とボンタンは同じ柑橘類の果物って本当?

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文旦とボンタンは名前こそ少し違いますが、実際には同じ柑橘類の果物を指しています。

つまり、同じ果物ですが地域や時代によって呼び名が違うだけということなんです。

そもそも文旦は原生地を東南アジアや中国南部、台湾としていて日本に導入されたのは江戸時代からです。

その際に貿易船主の「謝文旦」という人物の名前の潮州語読み「ジアブンタン」にちなんでブンタンと呼ばれるようになったんだそうです。

なんで呼び方が違うの?

貿易船主の名前「ジアブンタン」から名前をとった文旦は、果肉が淡く黄色いものを「文旦」、果肉が赤いものを「ジアブン」として呼び分けていたそうです。

やがて文旦はなまりが加わって「ボンタン」と呼ばれるようになり、同じ果物でありながら文旦とボンタンという二つの呼び名ができたということなんです。

他にもザボンって言うって本当?

文旦とボンタンが同じ果物であるということがわかりましたが、ザボンという果物も同じものなのでしょうか?答えは「同じ果物」です。

先ほど説明した「文旦」と「ジアブン」の「ジアブン」の方が実はザボンの原形なんです。

もともとジアブンと呼ばれていた果物は第二次世界大戦以前では「ジャボン」と呼ばれ、時間を経てジャボンから「ザボン」へと変化していきました。

現在では文旦、ボンタンの和名がザボンであり、九州ではザボンの呼び名の方が一般的です。

他にも文旦は別名がたくさんある!

文旦の標準和名は「ザボン」ですが、他にも「ザンボア」や「ボンタン」、「ジャボン」など様々な呼び名があります。

たくさん呼び名がありますが、どれも名前の由来である「ジアブンタン」によく似ているのが特徴的ですね。

実は文旦はたくさん種類があるって本当?

実は文旦にはたくさんの種類があって、ひとつひとつ特徴もあるんです。そんな文旦の種類をご紹介します。

土佐文旦

主に高知県で栽培されていて、もとは鹿児島県の「法元文旦」が1930年ごろに高知県に導入されたものです。

標準サイズは400g前後で、苦みが少なく甘みが特徴です。果汁は少ないですが果肉はしっかりとついています。

水晶文旦

果汁が少ないですが果肉が柔らかいのが特徴的な高知県で生まれた特産品です。「晩王柑」と「土佐文旦」の交雑種と言われています。

糖度が高く、酸味とのバランスが良い品種です。

阿久根文旦

鹿児島県の銘菓「ボンタン飴」に使われている文旦で、「阿久根ボンタン」とも呼ばれています。鹿児島県は阿久根地方の特産で、800g~1kgと大ぶりのサイズです。

歯ごたえのある果肉は淡紅色で、黄色い皮に覆われています。アルベドと呼ばれる皮の白いワタはかなり厚いため、ザボン漬けにぴったりの品種です。

平戸文旦

扁球系の大きな果実で、800g~1kgもの重さがあります。長崎県の特産で、品種改良に用いられることもあります。

平戸文旦とほかの柑橘類の掛け合わせでいくつもの品種が誕生しています。

大橘(パール柑)

鹿児島県が原産の大橘は名前こそ文旦ではありませんが、文旦の血を引く品種です。

なめらかな皮に張りのある果肉を持ち、苦みの少ない爽やかな甘酸っぱさが特徴です。

重さは標準600gほどで、鹿児島県では「サワーポメロ」(公募により決定した名前)、熊本県では「パール柑」と呼ばれています。

安政柑

江戸時代は安政に鹿児島県因島市で誕生した柑橘です。安政柑の命名は明治時代後期に入ってから。

大きな果実は1kgもあり、甘みと酸味のバランスが良く苦みも少ないさわやかな味わいです。主に広島県、山口県などで生産されています。

まとめ

文旦、ボンタン、ザボンについて簡単にまとめてみました。同じ果物の呼び名でも時代を経て少しずつ変わっていくのが面白いですね。

また、文旦にも様々な種類があって味や形がそれぞれ違うのも興味深いところです。

これからますます名前や品種が増えていくかもしれないと思うと、文旦のこれからに要注目です。

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